編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2011.02.09 [伊藤数子「障がい者スポーツの現場から」]
第4回 究極のユニバーサルスポーツ「ボッチャ」の魅力
「この競技が中継できるようになれば、障害者スポーツの中継はグンと広がる」
そう語ったのはスカパーJSAT執行役員専務・放送事業本部長の田中晃氏です。「スカパー!」では2008年から車椅子バスケットボールの中継を行なっています。来年のロンドンパラリンピックでは車椅子バスケットボール以外の中継も検討されており、今後はさらに障害者スポーツの中継が拡大されることでしょう。その指揮をとられているのが田中氏です。同氏が障害者スポーツ中継のカギと見ている「この競技」というのが、今回ご紹介する「ボッチャ」です。
ボッチャとは、今や日本でもお馴染みとなった「カーリング」によく似た競技です。まず最初に「ジャックボール」と呼ばれる的になる白いボールを先攻の選手がコートに投げ入れるところから始まります。そのジャックボールを目がけて、選手が決められた場所から赤と青のカラーボールを投げたり、転がしたりします。ジャックボールに近い方のカラーボールの数が得点となり、その合計点で勝敗が分けられます。
カーリングを想像していただくとわかりやすいのですが、ボッチャには激しさやスピード感というものはありません。しかし、スポーツの世界ならではの駆け引きや緻密な計算による細やかで鮮やかな技を堪能することができます。いえ、もしかしたらカーリング以上に駆け引きが必要とされるかもしれません。というのも、カーリングでは中心の円にいかに近づけるかを競うわけですが、その中心の円は氷上に描かれているため、動かすことはできません。しかし、ボッチャはジャックボールにカラーボールを当てて動かすことができます。ですから、なかなか計算通りにはいかない。最後まで結果がわからないというところに妙味があると言ってもいいでしょう。
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