編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2011.05.06 [伊藤数子「障がい者スポーツの現場から」]
第7回 被災者に届け! 障害者アスリートの"諦めない姿"
東日本大震災から約1カ月半が経ちました。死者・行方不明者はあわせて2万5000人を超え、その被害の大きさは戦後最大と言われています。少しずつ復興への兆しを見せ始めてはいるものの、被災地が元の姿に戻るにはまだまだ時間がかかることでしょう。今回の震災では「自分には何ができるのか」「今、何をすべきなのか」を考えた方々も少なくなかったと思います。私自身もその一人でした。障害者スポーツに関わる人間として、何をすべきか......。その答えは3月29日に行なわれたサッカーのチャリティーマッチ「日本代表vs.Jリーグ選抜」にありました。「自分たちの最後まで諦めない姿を見てほしい」という選手のコメントを耳にした時に、「これだ!」と思ったのです。多くの困難を乗り越え、逆境を糧にさえしてきて生きてきた障害者アスリートそのものが、最後まで諦めない姿の象徴です。そうであるならば、彼らと触れ合うことで、被災者の方々に何かを伝えられるのではないか。私はそう信じ、多くの方々のご協力のもと、障害者アスリートとともに今月23日、宮城県石巻市に訪問・炊き出しに行ってきました。
今回訪れたのは、石巻中学校と、同じ敷地内にある門脇中学校でした。体育館や教室には合わせて約1000人もの被災者が避難生活をしています。集まったのは新田佳浩、太田渉子、三澤拓、神谷千恵子、永野明、齋藤陽道の6名の障害者アスリートに加え、プロ野球OBの川崎憲次郎さんと阿波野秀幸さん。そして、この主旨に賛同し、炊き出しの全てを引き受けてくれた「MLBカフェ」(渋谷区恵比寿)からは兵頭慶爾社長をはじめ、大勢のスタッフが駆けつけてくれ、「みらい研」の高松重雄さんが現地との調整の労をとってくださいました。1800食分の食材や調理機器とともに、23日午前2時に東京を出発。何度か休憩をはさみながら、目的地の石巻に到着したのは午前8時を過ぎていました。空はあいにくの雨模様。テント設営が危ぶまれるほど、冷たい風が吹き荒れていました。
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