編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2012.01.05 [伊藤数子「障がい者スポーツの現場から」]
第15回 新たな時代の幕開け――多様化する障害者スポーツの形態
今年6月「障害者スポーツ基本法」が制定され、障害者スポーツの推進について初めて明文化されました。これは日本の障害者スポーツにとって、非常に大きな一歩と言えるでしょう。世界では今夏、義足スプリンター、オスカー・ピストリウスが世界陸上の舞台に登場し、注目を集めました。このように障害者スポーツの置かれている状況は、刻一刻と変化しています。特に今年は、そんな新しい時代へと向かっている障害者スポーツに関わる一人であることに喜びを強く感じることができた1年でした。
現在、NPO法人STANDではコミュニティサイト「アスリートビレッジ」や障害者スポーツの魅力を伝えるためのサイト「挑戦者たち」、ロンドンパラリンピックに挑戦するアスリートを追った「The Road to LONDON」など、障害者スポーツ事業を展開しています。その一つであるインターネットライブ中継「モバチュウ」は前回お話した通り、ドクターストップで全国大会に出場できなくなった選手のために、電動車椅子サッカーの全国大会を中継したことでスタートしました。
正直言えば、実は当時、中継を続ける心づもりは全くありませんでした。私としてはその全国大会に行けなくなった選手が、ユニフォームを着ながらパソコンの前で、インターネットを通してですがチームメイトと一緒に戦うことができた、それだけで満足だったのです。ところが翌年、全国大会の前になって1本の電話がかかってきました。それは、日本電動車椅子サッカー協会の会長からでした。「昨年は全国大会を中継してくれて、本当にありがとうございました。今年もぜひ中継していただけたら......」と言うのです。私は、すぐに会長に会いに行きました。しかしそこで、障害者スポーツが置かれている厳しい現状を初めて知ることになったのです。
このつづきは >>二宮清純責任編集「SPORTS COMMUNICATIONS」サイトでお楽しみください!