編集長コラム

障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ

第22回 国枝慎吾に見るスーパースターのあるべき姿

 パラリンピック連覇に向けて、いよいよこの選手が本領を発揮し始めました。4年前の北京パラリンピック、シングルスで悲願の金メダルに輝いた車いすテニスプレーヤー・国枝慎吾選手です。国枝選手は昨年9月の全米オープンで4連覇を果たして以降、ヒジの故障に悩まされ続けてきました。今年2月には手術に踏み切り、リハビリを経て、ようやく5月のジャパンオープンで実戦復帰を果たしたばかり。ロンドンに間に合うかどうか、不安の声もあがっていましたが、今月には3大会連続優勝を達成し、本番に向けてどんどん調子を上げてきています。ロンドンで再び、センターポールに日の丸を掲げてくれることでしょう。

 私が国枝選手の強さを最も感じたのは、2010年11月に行なわれた世界マスターズの準決勝で敗れ、07年から積み上げてきた連勝記録が107でストップした時です。その時のブログにはこう書かれていました。
<(前略)久々の敗戦なので、もちろんショックです。結構、ズッシリきています。あー、負けたか。って。ただ正直なところ、連勝を続けていくのも少し辛かった。何連勝とかこだわりは無かったけど、近年は心のどこかで「勝たなければ」という意識が働いていたようにも思います。試合も「負けない」テニスをするようになっていたというか。だから結果には表れないけど、自分の中で納得のいくプレー、やりたいプレーの割合は以前より少なくなっていた気がします。重荷が少し取れて、あー、負けたか。の後に「でもこれで良かったのかも」ってすぐに出てきました。忘れかけていた挑戦者になるときは今しかない。(後略)>

このブログを読んだ時、私は「忘れかけていた挑戦者になるときは今しかない」という言葉に、国枝選手の"覚悟"を感じました。そして今、再びその"覚悟"が国枝選手にはあるような気がしてならないのです。


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写真:国枝慎吾選手(竹見脩吾撮影)




伊藤 数子(いとう かずこ)

挑戦者たち編集長
/NPO法人STAND代表理事

新潟県生まれ。1991年に車いす陸上を観戦したことがきっかけとなり、障害者スポーツの振興に携わるようになる。未来に向けて次代の選手・ファンを拡げていくために、障害者スポーツのスポーツとしてのおもしろさを伝えるウェブサイト「挑戦者たち」、障害者スポーツ競技大会のインターネットライブ中継「モバチュウ」、障害者スポーツ体験会などの事業を企業・団体と協働で展開している。2012年ロンドンパラリンピックでは日本選手たちの挑戦を伝えるウェブサイト「The Road to London」を開幕1年前に開設した。著書に「ようこそ、障害者スポーツへ -パラリンピックを目指すアスリートたち-」(廣済堂出版)など。

ロンドン2012パラリンピック 日本選手たちの挑戦 「The Road to London」

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