編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2013.05.10 [伊藤数子「障がい者スポーツの現場から」]
第31回 「できない」と思ったことが「できた」ときに得られるもの ~キッズチャレンジプロジェクト~
3月31日、私たちNPO法人STANDが主催する「キッズチャレンジプロジェクト」では、障害者スキー体験会を行ないました。参加したのは小学2~5年の8人。その中には身体に障害をもち、ふだん車椅子を使用している子どもたち4人がおり、チェアスキーにチャレンジしたのです。私はそこでまた、スポーツの力を感じることできました。
「嫌だよぉ。僕、やりたくない......」
午前9時、障害者スキースクール「NPO法人ネージュ」の協力のもと、チェアスキーの体験会が始まりました。すると、ある一人の男の子が泣き出してしまいました。ふと他の子を見ると、いつもは元気いっぱいの子が、口を真一文字にして、緊張のあまりカチコチになっています。見るのも触れるのも初めてのチェアスキーに、不安を感じていたのでしょう。そんな子どもたちの様子に、私も一抹の不安を覚えました。
「大丈夫かな。子どもたちは楽しんでくれるかな」
しかし、それは杞憂に終わりました。1時間もすると、子どもたちのはしゃぎ声がスキー場に響くようになっていったのです。その時、私はある人の言葉を思い出しました。
「大丈夫ですよ。最初は緊張したり、怖がったりしていても、最後には必ずみんな笑顔で『また滑りたい!』って言いますから」
今回の企画を相談しに行った際、私にそう言ってくれたのは「ネージュ」の理事長・稲治大介さんでした。
見ると、子どもたちは2台しかないチェアスキーの取り合いをしています。はじめは、恐る恐る乗っていたのに......。あまりの変貌に、私は思わず笑ってしまいました。それほど、実に微笑ましい光景だったのです。
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