編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2013.07.03 [伊藤数子「障がい者スポーツの現場から」]
第33回 新プロジェクト「スポーツ車椅子キャラバン隊」
NPO法人STANDでは、これまで障害者スポーツの拡大に向けて、さまざまな事業を行なってきました。大会の模様を伝えるインターネット生中継「モバチュウ」の配信や、障害者スポーツ体験イベントの開催などがそうです。また、スポーツウェブサイト「挑戦者たち」の配信、ロンドンパラリンピックの時期には、「Road to LONDON」をウェブ配信しました。しかし、それらはほとんどが私たちが用意した会場やサイトに来訪してもらうというものでした。最近、それだけでなく、私たちの方から訪れるとことも必要なのではないかという思いが湧いています。それは、ある出来事を耳にしたことがきっかけでした。
ある知人の小学生の子どもは、幼少時代の事故がきっかけで車椅子を使用しています。人一倍好奇心旺盛でスポーツが大好きなその子は、とても活発でやんちゃそのもの。車椅子を器用に動かして、いつも元気いっぱいです。ところがある日、その子が両親の前で泣き始めました。学校でとてもショックなことがあったのです。
その日、小学校に地域の福祉課の職員が来てある授業がありました。車椅子を見せて子どもたちにこう言ったそうです。
「これは車椅子と言って、足が不自由な人たちが乗るものです。車椅子の人たちは、少しの段差でも身動きがとれません。高い所にあるものも自分では取ることができません。かわいそうですね。だからみんなで助けてあげてね」
この職員の言葉は、決して間違ってはいません。確かに、困っている人たちに対して手を差し伸べることは、とても大事ですし、子どもたちの教育にとっては不可欠なことです。事実、車椅子では不自由だったり不便なこともあります。しかし、できないことばかりをクローズアップされて話されたために、自身も車椅子に乗っている子どもにとっては、極めてショックの大きい言葉だったのです。
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