編集長コラム

障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ

第43回 東京五輪・パラリンピックを成功に導くボランティアスピリット

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催が決定して、写真:ソチパラリンピックのボランティアスタッフ。五輪をあわせて平均年齢は25歳だった8カ月になろうとしています。「7年後」だった20年までは、もう「6年」。その6年もあっという間に過ぎてしまうことでしょう。だからこそ、東京五輪・パラリンピックの成功に向けて、今からやれることをどんどん実行に移していかなければいけません。NPO法人STANDでは、今夏より新事業がスタートします。「ボランティア・アカデミー」です。真のボランティア精神を涵養することで、6年後の本番には、ボランティアスタッフだけではなく、様々な立場やアプローチで、五輪・パラリンピックを盛り上げることができる人をたくさんつくりだそうというものです。

(写真:ソチパラリンピックのボランティアスタッフ。五輪をあわせて平均年齢は25歳だった)

「ボランティア」というと、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。多くの人が「無償で働くこと」を思い浮かべるでしょう。しかし、語源を見てみると、ボランティアが本当に意味するものは「無償」ではないことに気づかされます。

「volunteer」の語源は、ラテン語の「voluntas」で、「自由意志」という意味です。「volo」には「噴き出す」「飛び出す」という意味があり、火山のことを「volcano」といいます。つまり、「ボランティア」という言葉の重要な意味合いは「内側から湧き出てきたもの」であり、決して「無償であること」ではありません。「volunteer」には「志願兵」という意味があることからも、それは明らかです。ですから、日本語では例えばよく「ボランティアでお願いします」と言いますが、これは本来は誤った使い方ということが言えます。ボランティアは人からお願いされるものではなく、自らの意志に沿って行なうものだからです。


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伊藤 数子(いとう かずこ)

挑戦者たち編集長
/NPO法人STAND代表理事

新潟県生まれ。1991年に車いす陸上を観戦したことがきっかけとなり、障害者スポーツの振興に携わるようになる。未来に向けて次代の選手・ファンを拡げていくために、障害者スポーツのスポーツとしてのおもしろさを伝えるウェブサイト「挑戦者たち」、障害者スポーツ競技大会のインターネットライブ中継「モバチュウ」、障害者スポーツ体験会などの事業を企業・団体と協働で展開している。2012年ロンドンパラリンピックでは日本選手たちの挑戦を伝えるウェブサイト「The Road to London」を開幕1年前に開設した。著書に「ようこそ、障害者スポーツへ -パラリンピックを目指すアスリートたち-」(廣済堂出版)など。

ロンドン2012パラリンピック 日本選手たちの挑戦 「The Road to London」

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