編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2014.08.01 [伊藤数子「障がい者スポーツの現場から」]
第46回 パラリンピックを国民全体のムーブメントに
6年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、さまざまな取り組みが始まっています。そのひとつが、パラリンピック選手発掘事業です。2020年東京パラリンピックで活躍が期待できる金の卵を探そう、というわけです。この事業を行うにあたり、障がいのある若い人たちとパラリンピックの出会いの場を、特別支援学校や障がい者スポーツセンターだけでなく、広く社会全体へと広げていきたいと考えています。なぜなら2020年東京パラリンピック開催をきっかけに、パラリンピックを国民的ムーブメントへと押し上げたいという思いがあるからです。だからこそ、選手発掘事業も一般社会にどんどん広げたいのです。
(写真:東京パラリンピックで金メダルを目指している池田選手)
今日、パラリンピックは世界的に超エリートスポーツ化しています。また、日本では今年4月からオリンピックと同じ文部科学省の管轄となりました。このことからも、もはやパラリンピックは障がい者スポーツ界、障がい者のコミュニティの中だけに留めておくことはできなくなりました。オリンピックやサッカーW杯などと同じく、国民的スポーツイベントのひとつとしてとらえる時代となったのです。そこで、パラリンピック選手の発掘事業もまた、国をあげての事業として、みんなで一緒になって行なっていけたらと考えています。
確かに、日本でも障がい者スポーツやパラリンピックの認知度は高まってきています。パラリンピック選手のパフォーマンスを見て、そのレベルの高さに驚き、感動を覚える人も増えています。しかし、オリンピックのように、本当に自分たち日本の代表として感じられている人はそう多くはありません。たとえパラリンピックでメダルを獲ったとしても、結局は別の世界の人。「別世界に、すごい人がいるんだなあ」と感じているだけではないでしょうか。それはなぜなら、これまで障がい者スポーツは「する」「観る」「支える」という3つの要素において、すべてが障がい者スポーツの世界、障がい者のコミュニティの中で完結されていたからにほかなりません。
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