編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2014.09.01 [伊藤数子「障がい者スポーツの現場から」]
第47回 選手強化、パラリンピック選手が本当に必要としているもの
6年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向けて、さまざまな取り組みが行なわれる中、パラリンピック選手の強化について、一般社団法人日本パラリンピアンズ協会が動き出しました。パラリンピック全競技の選手・強化関係者から意見を募り、まとめたものを公表したのです。テーマは「障害者スポーツのハイパフォーマンス選手の強化について」。7月30日から日本パラリンピアンズ協会のウェブサイト(http://www.paralympians.jp/ ) で公開されています。
きっかけのひとつとなったのは、パラリンピックのナショナルトレーニングセンターの設置案が出されたことです。当初、発表されたのは埼玉県所沢市にある国立障害者リハビリテーションセンターの敷地内に設置をするという案でした。しかし、実はこの案に賛同したパラリンピック選手は少なかったのです。なぜなら、パラリンピック選手が最も望んでいるのは「オリンピック選手と同様の環境での強化」だからです。
今年4月に方向性として示された、既存の東京都北区にあるナショナルトレーニングセンターおよび国立科学トレーニングセンターを、オリンピックとパラリンピックの共用施設にするという案に、パラリンピック選手の多くが賛同の意を示しました。それはなぜなのでしょうか。もちろん、最新設備でトレーニングをしたいということもあります。
しかし、それだけではありません。パラリンピック選手は、ナショナルトレーニングセンターという場所だけではなく、「人材」と「知見」の共用を必要としているのです。これまで培われたオリンピック選手に対する競技指導のノウハウや、最新のスポーツ医科学によるサポートを受けることで、より高いパフォーマンスを実現すること。これこそが、パラリンピック選手が求めていることなのです。ところが、パラリンピック選手の意識と私たち国民との間には大きなギャップがあるのです。
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