編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2015.06.01 [伊藤数子「障がい者スポーツの現場から」]
第56回 障がい者スポーツを"ツール"にして伝えたいこと ~体験会を開催する本当の理由~
今月23日、広島市でNPO法人STAND主催のゴールボール体験会を行いました。6歳から70歳代まで幅広い年齢層の約120人に参加していただきました。2005年にSTANDを設立して以来、体験会は年に1回は、開催してきました。もっと多くの地域で開催し、多くの人に体験してもらいたいという思いはあったのですが、障がい者スポーツの体験会を開くことは手間や時間もかかるので、そんなに簡単にできることではありません。それが昨年から「挑戦者たち」をサポートしてくださっている清水建設のご協力により、年3回以上の実施が可能になりました。以前は場所も首都圏が多かったのが、全国各地へも展開し、秋には新潟、大阪でも開催を予定しています。
(写真:広島での体験会には、多くの子どもたちが参加)
現場で何度も感じた"特別じゃない"という思い
まずは私が、なぜ障がい者スポーツの体験会を開催するようになったのかをお話しします。私が生まれて初めて、障がいのある人とお話をしたのは、今から20年以上前のことです。友人に誘われ、車いす陸上大会を見に行きました。一緒に観戦した私の友人のひとりが知り合いだったこともあり、レース後、大会に出場していた飯田康弘さんを紹介してもらったのです。
そこで私は彼の足を見て、驚きました。筋肉が落ちていたため、とても細くなっていたんです。友人たちが話している間も、足が気になっていると、飯田さんと目が合ってしまったんです。その時に彼に「伊藤さん、僕の足細いでしょ?」と言われ、私はいたたまれなくなりました。すると飯田さんは「伊藤さんの足より細いでしょ」と冗談を言ったんです。その時に大きなショックとともに、感じました。"あれ? 普通の話をしてもいいんだ"と。私はどこか飯田さんのことを"別世界の人"として見ていたのです。それは大きな思い違いでした。これを機に私は、障がいのある人への見方が大きく変わりました。
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