編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2015.11.02 [伊藤数子「パラスポーツの現場から」]
第61回 「もっともっと伝えたい」時代の変化と共に変わりゆくウェブコンテンツ
パラスポーツのインターネット生中継をスタートしてから、12年が経ちました。初めての配信は2003年、電動車椅子サッカーの全国大会です。以前、このコラムでも紹介しましたが、当時応援していたチームのメンバーの中に、障がいのために医師から遠くで行われる大会への移動許可が下りず、出場できない選手がいました。その選手に「チームメイトの活躍を見てほしい」という思いで、ライブ中継を行いました。彼は自宅の部屋でユニホームを着ながら見てくれました。決して鮮明で見やすい映像ではありませんでしたが、その選手は「あぁ、いつもの癖が出た」とチームメイトのプレーを見ながら、一緒に戦っていた。まさに同じ時間、同じ瞬間を共有していたのです。
(写真:中継のかたちも多種多様な時代になった/提供 クロスコ株式会社)
当時の中継は携帯電話のテレビ電話機能で撮影していたので、映像は決して高画質なものではありませんでしたが、生中継には時間や瞬間を共有できる醍醐味がありました。その後、私たちが始めたインターネットライブ中継「モバチュウ」は、いろいろな競技を配信していきました。時代の進歩とともにカメラ、パソコン、携帯電話といったIT機器も進化を遂げていきました。映像の質が上がっていく中で、私たちはコンテンツの向上を目指していったのです。配信する画像にスコアを入力し、得点経過を表示しました。実況、解説をつけて、ルールをあまり知られていないパラスポーツでも分かりやすく楽しめるようなコンテンツを提供しました。(中略)
コンパクトさを求める流行
ところが13年ぐらいからアクセスが減り始めました。パラスポーツへの認知度や注目度は高まっているのにもかかわらず、なぜ視聴者数は減ったのか。おそらくSNSが流行してきて、時代はより短い動画へと、求められるかたちは変わってきたのではないでしょうか。私たちは長時間の中継を、PCやスマートフォンで見る人が少ないと考えたのです。そこで10年来続けてきた形を諦め、ダイジェスト版をスタートさせる決断をしました。
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