編集長コラム

障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ

第62回 スポーツが人生を「カラー」にする ~金沢ベストブラザーズ20周年~

パーティーには懐かしい顔がそろった 先日、電動車椅子サッカーチーム「金沢ベストブラザーズ」の設立20周年記念パーティーが開催されました。金沢ベストブラザーズはSTAND設立のきっかけにもなったチームです。2003年、このチームの試合を初めてインターネット生中継しました。それがSTANDの初めての事業です。パーティーに参加して、私はSTANDを始めた頃のことを思い起こしていました。
(写真:パーティーには懐かしい顔がそろった)

 チーム創立者は神島雅樹さん、宏行さんのご兄弟です。2人は重度の障がいがあり、残念ながら、すでに亡くなっています。神島兄弟が始めた金沢ベストブラザーズには、その後様々なメンバーが加わっていきます。

 現会長兼選手の畠幸江さんは、以前は施設で暮らしていました。競技を始めてから、生活は変わり、1人暮らしをするようになったのです。彼女は電動車椅子サッカーを通じて、負けて悔しさがこみ上げてくることや、勝って嬉しいという気持ちになることを知りました。施設には安全な暮らしがあります。しかし、悔しい、嬉しいという感情は、ほとんどなかったのです。本人も「きっとサッカーをやっていなかったら、こんな気持ちを味わうこともなく過ごしていただろうと思います」と話していました。

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伊藤 数子(いとう かずこ)

挑戦者たち編集長
/NPO法人STAND代表理事

新潟県生まれ。1991年に車いす陸上を観戦したことがきっかけとなり、障害者スポーツの振興に携わるようになる。未来に向けて次代の選手・ファンを拡げていくために、障害者スポーツのスポーツとしてのおもしろさを伝えるウェブサイト「挑戦者たち」、障害者スポーツ競技大会のインターネットライブ中継「モバチュウ」、障害者スポーツ体験会などの事業を企業・団体と協働で展開している。2012年ロンドンパラリンピックでは日本選手たちの挑戦を伝えるウェブサイト「The Road to London」を開幕1年前に開設した。著書に「ようこそ、障害者スポーツへ -パラリンピックを目指すアスリートたち-」(廣済堂出版)など。

ロンドン2012パラリンピック 日本選手たちの挑戦 「The Road to London」

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