編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2019.01.07 [伊藤数子「パラスポーツの現場から」]
第99回 一枚の写真が手繰り寄せた「縁」
2017年秋に設立された一般財団法人「清心内海塾」は、スポーツ活動支援や障害者・高齢者などへの支援事業を行っています。ご縁あって先日、訪問したときのことです。通された応接室に飾ってあった1枚の写真が目にとまりました。
丁寧に額装されたその写真は、柔道の試合を写したものでした。近寄って見せていただくと、皇太子殿下がご臨席され、試合をご覧になっている様子が写っていました。清心内海塾の方に「もしかしてこれは講道館ですか。視覚障害者柔道の大会ですか」と尋ねると、「よくわかりましたね!」と。私はびっくりして「もしかして第20回大会の、ですか?」と聞くと、「どうしてそれがおわかりになりましたか!?」と、先方はさらにびっくり。私も「なぜ、あのときの写真がここに?」と。お互いに「どうして?」「なぜ?」の応酬となりました。
そのくだりはこうでした。2005年の第20回記念全日本視覚障害者柔道大会は資金不足などにより開催中止の危機に瀕していました。その危機を救ったのが「清心内海塾」の母体である羽田タートルサービスの内海章雄社長だったのです。同社はもともと柔道への支援をしており、社内には70名を超える柔道経験者が在籍していました。当時、東京実業柔道連盟の会長もお務めだった内海社長が「せっかく20年も続けてきた大会の火を消してしまうわけにはいかない」と支援を申し出て、無事に大会が開催されたというわけです。そのときの記念として贈呈された写真だったのです。
では、なぜ私が「視覚障害者柔道、しかも第20回大会」だとすぐにわかったのか。それはある選手のエピソードが鮮明によみがえってきたからです。......。
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