編集長コラム
障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ
2020.10.01 [伊藤数子「パラスポーツの現場から」]
第120回 「話す」って何だ? 約30年前の"原体験"
STANDはこの10月から16期に突入です。2003年、初めて障害者スポーツのインターネット生中継を行いました(14年1月更新コラム)。そこでの出来事がSTAND設立へとつながるのですが、その前にも今につながる大事な体験がありました。約30年前のふるーいお話です。
1991年、石川県で国体開催後、全国身体障害者スポーツ大会(2001年から全国障害者スポーツ大会)がありました。大会愛称は「ほほえみの石川大会」です。
ちょうど金沢で企画会社を立ち上げたばかりの頃でした。当時、仕事でお世話になっていたNTT様が、同大会のパソコン通信サービスを全国に先駆けて実施するとのこと。障害のある人の大会を障害のある人たちが全国にパソコン通信で速報するというものでした。当時の私は、その先駆的な企画や、自治体や様々な団体が協働するスケールの大きさに目をまるくしました。その当時、NTTの方がワープロで作られた企画書は今も大事に保管しています(右写真)。その大きなプロジェクトに思い切ってお願いして参加させていただきました。
開催1年前の90年秋、リハーサル大会を見学に行くことになりました。このとき、私は生まれて初めて車椅子に乗った人と話すことになりました。彼はパラ陸上の選手ですが、さあ、何を話してよいか分かりません。「こんにちは」と挨拶をした後、黙ってしまいました。ものすごく気まずく、いたたまれない空気でした。
しかし初対面の彼は、「伊藤さん、パソコン持ってる?」「○△×(パソコンの機種のようである)っていいよね」「でもちょっと、というか、すごく高いよね」と調子よくパソコンの話をし始めたのです...。
このつづきは >>二宮清純責任編集「SPORTS COMMUNICATIONS」サイトでお楽しみください!