編集長コラム

障害者スポーツのおもしろさを求め、現場へ

第169回 「筋肉とピアノ」

写真:ピアノ いま思うと、私には筋肉への憧れがあるようです。
 学生の頃、アルバイトで貯めたお金で、プロテインを買いました。バスケットボール部に所属し、最初は練習にもしっかり参加していました。「練習後に飲むと、筋肉がつく」という体育科の同級生が飲んでいたのを真似したのです。私にとって、かなりの出費でしたが、「筋肉がつく」と思うとわくわくしました。しかし効果は感じられませんでした。今考えると、効果が出るような飲み方をしていなかった。手応えがないのは当たり前のことでした。

「期待したほどじゃない。それにココア味ってなんだ。甘いじゃないか。太るんじゃない?」と完全に間違った考えのもと、あっという間に摂取を止めました。

 そして時は過ぎ――。
 STANDでの活動が始まると、様々なスポーツの場面に立ち会い、魅力的な人に出会いました。もともとスポーツ好きだったにもかかわらず、自身が身体を動かす機会をなかなか持たずに過ごしました。そして5年前、ふと気づくとこんな傾向が見られるようになりました。

・駅の階段を最後まで登れず、途中で休憩する。
・立ち上がった際、膝に痛みが走る。
・歩く速度が落ちる。
・服のサイズが合わなく、着られなくなる。

 これはまずいぞ、と危機感を覚えた私は、パーソナルトレーニングに通いました......。


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伊藤 数子(いとう かずこ)

挑戦者たち編集長
/NPO法人STAND代表理事

新潟県生まれ。1991年に車いす陸上を観戦したことがきっかけとなり、障害者スポーツの振興に携わるようになる。未来に向けて次代の選手・ファンを拡げていくために、障害者スポーツのスポーツとしてのおもしろさを伝えるウェブサイト「挑戦者たち」、障害者スポーツ競技大会のインターネットライブ中継「モバチュウ」、障害者スポーツ体験会などの事業を企業・団体と協働で展開している。2012年ロンドンパラリンピックでは日本選手たちの挑戦を伝えるウェブサイト「The Road to London」を開幕1年前に開設した。著書に「ようこそ、障害者スポーツへ -パラリンピックを目指すアスリートたち-」(廣済堂出版)など。

ロンドン2012パラリンピック 日本選手たちの挑戦 「The Road to London」

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