二宮清純の視点
二宮清純が探る新たなるスポーツの地平線
2011.08.25
第4回 水泳は"生涯の友"
~酸いも甘いも味わった水泳人生~(4/4)
二宮: 成田さんは今、年齢別にレースを競うマスターズの大会に積極的に出場しているそうですね。マスターズでは健常者も障害者も同じ条件でタイムが競われます。成田さんにとってマスターズ出場はどういう意味をもつのでしょう?
成田: マスターズではパラリンピックのメダリストとしての「成田真由美」ではないので、勝敗どうのという以上に、純粋に水泳が好きだという気持ちで泳ぐことができるんです。自分でもそういう「成田真由美」はいいなと思いますね。
二宮: 純粋に水泳が好きな自分でいられると?
成田: はい。もちろん、「負けたくない!」という気持ちで泳いでいるんですよ。誰かに勝つと、「やった!」なんて大喜びしちゃいますし。でも、勝ち負け以上に「水泳っていいな」と思えるんです。それに健常者も障害者も分け隔てない。そういうところがマスターズの魅力だと思います。
二宮: タイム自体は伸びているんですか?
成田: 一気に伸びることはありませんが、タイム自体は悪くないですよ。今後のトレーニング次第では、もっと伸びると思っています。
老若男女から親しまれるスポーツ
二宮: 成田さんにとって水泳の最大の魅力は?
成田: 老若男女できるスポーツだということですね。それこそマスターズでは、90代の参加者もいるんですよ。一見、「大丈夫かな?」なんて思うんですけど、水の中に入ったとたんに、いきいきと泳いでいるんです。すごいなぁって思いますよ。
二宮: 健康にもいいですし、大人になってからでも十分に始められるスポーツですよね。
成田: はい、そうなんです。それこそ赤ちゃんからでも始められるスポーツなんですね。それって、素晴らしいことだと思うんです。
二宮: 「スポーツ立国」を目指す日本にとっても、水泳は生涯スポーツの代表格として重視されるべきでしょうね。
成田: 今年4月に神奈川県相模原市の水泳協会が「東日本大震災」の被災地の一つ、宮城県気仙沼市の「スイミングアカデミー気仙沼」の子どもたちを招待して、「チャリティースイム・イン・さがみはら」を開催したんです。チャリティーには5歳から76歳まで、1000人以上が参加してくれて、みんな楽しそうに泳いでいました。それを見て、「こんなに幅広い年齢の人たちが楽しめる水泳って、やっぱりいいなぁ」って改めて思ったんです。そして、その水泳に携われている私って、すごく幸せだなと心の底から感じました。
二宮: 水泳は"生涯の友"ですね。
成田: はい。もう死ぬまで泳ぎ続けたいと思います!
(おわり)
<成田真由美(なりた・まゆみ)プロフィール>
1970年8月27日、神奈川県生まれ。13歳の時に脊髄炎を発症し、両下肢麻痺となる。23歳の時に水泳を始め、そのわずか1カ月後に出場した東北身体障害者水泳大会(仙台市)で優勝。その後、アトランタ、シドニー、アテネ、北京と4大会連続でパラリンピックに出場し、金15、銀3、銅2と計20個ものメダルを獲得した。日本テレビ勤務。横浜サクラスイミング所属。国際スポーツ東京委員会理事を務め、全国各地で講演をするなど、幅広く活躍している。
(構成・斎藤寿子)
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