二宮清純の視点
二宮清純が探る新たなるスポーツの地平線
2015.12.24
第3回 チームジャパン一丸となって未来へ
~オリンピック・パラリンピックは「三位一体」で~(3/3)
二宮:馳大臣が文科省の大臣、遠藤利明さんが東京オリンピック・パラリンピック大臣を務められています。そして鈴木大地さんがスポーツ庁の長官ということで、文科省の外局ですよね。大まかな役割分担は分かりますが、具体的な話になると、わかりにくいと思っていらっしゃる方もいると思うんです。たとえばテロ対策は遠藤大臣ですよ、スポーツの強化に関しては鈴木長官ですよ、馳大臣はスポーツ行政、教育行政含めて全般を見ます、といった具合にね。もう少し分かりやすい説明が必要かなと?
馳:難しく考えないでください(笑)。三位一体と考えてください。
二宮:なるほど。三位一体、毛利元就の三本の矢みたいな感じでしょうか。
馳:法律に基づいてやるだけであって、特に遠藤大臣は2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた準備や運営を任されている。ただ、そのために行っていることは、2020年で終わりのはずがないじゃないですか。
伊藤:そうですね。むしろ、その先をどうするかということの方が大事な気がします。
馳:レガシーを残すための文化プログラムもそうですし、施設にしてもその後も長年に渡り、使うものもあるでしょう。だからこそ、基本的な仕分けは法律に任せておいて、明確に分類しない方がいいと思うんです。常に文科大臣は、遠藤大臣と連携し、鈴木長官と連携し、鈴木長官は遠藤大臣と連携する。要するに三位一体でやらなければならないんです。
【血の通ったチームワーク】
二宮:遠藤さんもスポーツマンですし、馳大臣はオリンピックの出場経験があって、鈴木長官は金メダリストです。この3人のチームワークは非常にいいのではないでしょうか。でも少し前のことを考えると、例えば都知事と前文科大臣はそんなにうまくコミュニケーションを取れていなかったとも言える。人が変われば、また変わってしまうということも無きにしも非ずじゃないかなと思えるんですね。
馳:人のことはとやかく言いません。遠藤さんと私はもう10年以上、スポーツ基本法を議員立法として成立、totoに関する法律の改正や例のJOC(日本オリンピック委員会)の不正経理の問題、体罰の問題などと多くのことを一緒に取り組んできました。ましてやスポーツ庁設置のプロジェクトチームは、遠藤さんと私と河野一郎前JSC(日本スポーツ振興センター)理事長が一体となって、JOCやJPC(日本パラリンピック委員会)や日体協(日本体育協会)とも協力しながら練り上げた。心は、1つであります。
伊藤:絆は深いということですね。
馳:ええ。あくまで法律によって、ぞれぞれの所管の権限が違うだけなんです。ここに我々とすれば、待望の金メダリストであり、順天堂大学医学部でドクター(医学博士号)まで取得した鈴木長官をお迎えすることになった。
二宮:日本水泳連盟でも若くして会長を務められた鈴木さんが加わり、さらに厚みを増したわけですね。
馳:実は月に一度、舛添要一都知事とも食事をしながら意見交換をしています。知事だけではなく、都議会の方とも顔を合わせて、意見交換できるようにしてあります。縦横斜めの連携ですね。常にこれを意識しながら、関係者と対話しながら体制を整備していきたいと思っています。遠藤さんはこれ、馳さんはこれ、鈴木さんはこれと、むしろお示ししない方がいいんです。3人で、時には舛添さんや都議会も入れて、皆で協議します。
伊藤:とても熱い、血の通ったチームワークを感じました。
馳:体育会ですからね(笑)。これからもチームジャパンが、一丸となって頑張っていきたいと思います。
(おわり)
<馳浩(はせ・ひろし)>
1961年5月5日、富山県生まれ。高校入学後にアマチュアレスリングを始め、3年時には国民体育大会で優勝。専修大学時代にはレスリング部の主将を務める。卒業後は、母校の星稜高校(石川)で教員を務める傍ら、84年のロサンゼルスオリンピックに出場。翌85年にはジャパンプロレスに入門し、プロレスラーに転向した。87年からは新日本プロレスの中心選手として活躍。95年、参議院議員に初当選した。2000年、衆議院議員総選挙に立候補して当選。13年10月より、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会実施本部本部長を務める。今年10月から文部科学大臣に就任した。
(構成・杉浦泰介)